開発編 コラム

ヒルトルのアプリ開発裏話:Stripeを約9年使って、一度も凍結されていません

  • 『アプリ開発者向けAIツール大全』Chapter 13(決済)より
  • 2026年11月5日版

決済の章で一番よく聞かれるのが「Stripeって凍結されるんでしょう?」という質問です。

私の実体験からお答えします。私がStripeを使い始めたのは2017年ごろ、ClickFunnelsという海外のファネル作成システムと連携させるためでした。それから約9年、一度もアカウントを凍結されたことはありません。

私のお客様にも、長年問題なく使い続けている方がたくさんいらっしゃいます。一方で、凍結されてしまった方も確かにいます。この差はどこにあるのか。

まず、よくある誤解を1つ解いておきます。「高額商品を売ると凍結される」というのは正確ではありません。

Stripeが公開している禁止業種のリストを実際に読んでみると、コーチングやコンサル、セミナーそのものは載っていません。載っているのは「金融商品や暗号資産の投資に関する助言」「転売やドロップシッピングで儲ける方法の指導」といった、対象がはっきり限定されたものです。

一方で、日本向けにはっきり禁止と書かれているものもあります。占い・サイキックサービス。一攫千金商法(少ない労力や前払い金で高額報酬が得られると謳うもの)。そして、日本の情報販売者が一番引っかかりやすいのがこれです。

「特定商取引法に基づく表記」のページがないサイトは、日本では明確に禁止対象です。

これは金額に関係ありません。まずここを整えてください。

では本当のリスクは何か。チャージバックです。

チャージバックとは、お客様が「約束のものが届かない」「サポートしてもらえない」とカード会社に申し立てて、強制的に返金される仕組みのことです。返金そのものより、これが厄介です。

カード会社側には明確な基準があります。2026年11月5日時点、日本を含むアジア太平洋地域のVisaの制度では、「比率0.5%以上かつ5件以上」で基準を満たさない扱い(手数料がかかることもあります)、「比率1.5%以上かつ1,500件以上」で手数料の対象。Mastercardは「100〜299件かつ1.5〜2.99%」「300件以上かつ3%」という基準です。

ここで2つ、覚えておいてください。1つは比率と件数の両方が条件であること。紛争が1件出ただけで罰せられるわけではありません。もう1つは、この比率に「あなたが自分から行った返金」は含まれないこと。入るのは紛争と不正の疑いの報告です。

Stripe自身も「業界では0.75%を超えると多すぎると見なされる」「急に増えた場合は、その水準に届く前に監視対象になることがある」と説明しています。

高額商品が危ないのは、金額そのものではなく「1件の返金トラブルが起きる確率と重さ」が上がるからです。 50万円、100万円という買い物ほど、お客様は後から不安になります。

だから私はこうしています。返金してほしいと言われたら、すぐ返金する。 これに尽きます。自分から返金すれば、それはただの返金です。放置してカード会社に駆け込まれたら、チャージバックになります。この差は決定的です。

もう1つ知っておいてほしいのが「入金保留(リザーブ)」です。Stripeは公式に、納品までの期間が長い業種や、紛争が増えているアカウントには入金を一部保留することがあると説明しています。ただし保留は凍結とは別物で、決済の受付自体は続けられます。

最後に、朗報を1つ。Stripeは2025年4月から日本で分割払いに対応しました。 お客様は分割で払えて、あなたには通常どおり満額が入金されます。 加盟店側の追加手数料はなく、VisaとMastercardは最大60回、JCBは最大24回まで。「高額商品は国内の決済代行会社でないと分割できない」という常識は、もう過去のものです。

私自身がStripeで売ってきたのは、数千円の書籍から、数万円のオンライン講座、オンラインサロンのサブスクが中心で、一番高いもので20万円ほどでした。私の場合、この規模でこれまで凍結を経験したことはありません。

まとめます。普通の商売をして、禁止業種に触れず、特商法表記を用意して、返金には即応する。 これだけで、Stripeは怖いサービスではなくなります。