開発編 コラム

海外にデジタル商品を売るなら:MoRという選択肢

  • 『アプリ開発者向けAIツール大全』Chapter 13(決済)より
  • 2026年11月5日版

あなたの商品を海外にも販売したい場合、避けて通れないのが「海外の消費税」の問題です。国や地域ごとに税率も申告ルールも違い、個人で対応するのはほぼ不可能です。

そこで世間で使われているのが、MoR(Merchant of Record=マーチャント・オブ・レコード)と呼ばれる仕組みです。

Paddle(パドル)などのMoR型決済サービスは、形式上「販売者」の立場を引き受けて、世界中の税金の処理を代行してくれます。

手数料は取引額の5%+50セント程度と高めですが、「税務の悩みごと引き受けます」という料金だと考えれば納得感があります。

選択肢は3つあります。

Paddle(パドル) は老舗で、手数料は5%+50セント。月額費用はなく、この1本で完結します。

Polar(ポラー) は個人開発者に人気の新顔です。2026年5月に料金体系が変わり、無料で始める場合の手数料は5%+50セントになりました。月額20ドルのProプランを契約すると3.8%+40セントまで下がりますので、売上がある程度立ってきたら検討する価値があります。ただし、どちらのプランでも、米国以外で発行されたカードでの支払いには1.5%が上乗せされます。日本のお客様のカードも、この上乗せの対象です。

Stripe Managed Payments(ストライプ・マネージドペイメンツ) は、この章の主役であるStripe自身が2026年4月から提供を始めたMoRサービスです。日本の事業者も対象で、通常のStripe決済手数料に加えて3.5%が上乗せされます。日本国内のカード決済なら合計で約7.1%という計算です。

ただし、Stripe Managed Paymentsには扱える商品の制限があります。ソフトウェア、電子書籍、オンライン講座(録画済みのもの)といったデジタル商品は対象ですが、物販、コンサルティングなどの役務提供、対面のイベント、マンツーマンのライブ指導などは対象外です。あなたが売りたいものが対象かどうか、契約前に必ず確認してください。

なお、この分野で人気だったLemon Squeezy(レモンスクイージー)は2024年にStripeに買収されました。サービスが止まったわけではなく、現在も動いていますが、今後はこのStripe Managed Paymentsへ移行していく方針が示されています。

「国内はStripe、海外向けデジタル商品はMoR」という整理だけ、頭の片隅に置いておいてください。