開発編 コラム

Agent Skills:AIに「仕事の手順書」を持たせる

  • 『アプリ開発者向けAIツール大全』Chapter 16(その他の便利な開発系ツール)より
  • 2026年11月5日版

MCPとあわせて覚えておきたい言葉が「Agent Skills(エージェント・スキル)」です。

MCPが「AIに道具を持たせる」しくみなら、スキルは「AIに仕事の進め方を教える」しくみです。

中身はとても単純です。1つのスキルは1つのフォルダで、中にSKILL.mdという説明書のファイルが入っています。必要なら、作業用の小さなプログラム(スクリプト)や参考資料も一緒に入れられます。

AIは、ふだんはスキルの「名前」と「短い説明」だけを覚えています。頼まれた仕事がその説明に合ったときだけ、説明書の全文を読みます。だから、スキルをたくさん入れても、AIが一度に覚えておける量を圧迫しにくいのです。

2つの違いをまとめると、こうなります。

  • MCP:AIと外部のサービスや道具をつなぐ(例:データベースの中身を見に行く)
  • スキル:AIに決まった作業の手順を覚えさせる(例:公開前のチェックを毎回同じ順番で行う)

2026年11月5日時点で、Agent Skillsの公式サイト(agentskills.io)の紹介ページ(対応ツールの一部を集めたもの)には、ClaudeとClaude Code、OpenAIのCodex、Cursor、GitHub Copilot、Gemini CLI、Kiroなど、46の対応ツールが載っています。

Chapter 9で紹介したExpoも、2026年10月15日に出た版(SDK 58)で、自社で作ったスキル(アップデート用のexpo-upgradeなど)を、Claude Codeなどで使える形で配っています。

2026年10月22日には、大きな動きがありました。この規格を作ったAnthropic社が、Agent SkillsをAgentic AI Foundation(AAIF)に寄贈したと発表したのです。

AAIFは、Linux Foundation(オープンソースを支える非営利団体)の下にある団体です。MCPも、すでにここに寄贈されています。

Anthropic社の発表では、Agent Skillsを特定の会社に偏らない、中立の規格として守っていくとしています。2025年12月に規格が公開されてから、70を超えるAIツールが取り入れたとも書かれています。

公式サイトは「一度作れば、対応するどのAIでも使える」ことを利点に挙げています。AIツールを乗り換えても、作った手順書が無駄になりにくいということです。

始め方はかんたんです。毎回同じ説明をくり返している作業があれば、Claudeに「この作業をスキルにして」と頼んでください。Anthropic社の公式の解説でも、会話で手順を説明すれば、ClaudeがSKILL.mdを書いてまとめてくれる方法が紹介されています。

なお、Claudeのアプリでスキルを使うには、設定で、ファイルを作ったり直したりする機能(英語の画面では「Create and edit files」)をオンにしておく必要があります。スキルは、無料プランを含むすべてのプランで使えます。

ただし、知らない人が作ったスキルを入れるときは注意してください。スキルの中身は、AIへの指示とプログラムです。悪意のある指示が紛れていれば、AIにあなたのデータを外へ送らせることもできてしまいます。

Anthropic社のヘルプページも「信頼できる配布元のスキルだけを入れる」よう呼びかけていて、主な危険として、プロンプトインジェクション(AIをだます指示)とデータの持ち出しを挙げています。10月22日の発表でも、規格の今後の計画案に、スキルを作る人と入れる人のための安全の指針が入っています。

Chapter 2のコラムで紹介したPlugin4Shellと同じで、「どこの誰が配っているか」を確かめてから入れる。これだけは守ってください。